その7 恩師たち2

高校で、初めて音楽学校という環境に入った私は、毎日がとても充実していました。 そんな時、弦楽合奏の授業を担当して下さっていたのが、私の次の先生となる徳永二男先生です。先生の合奏指導が素晴らしかったので、「この先生のヴァイオリンのレッスンを受けてみたい」と思いました。 先生の指導は、要点を解りやすく簡潔に、的確に。 そして、目の前でして下さる模範演奏の素晴らしいこと!

もちろん、それまで習っていた室谷先生も素晴らしかったですが、10年も習っていたので、その素晴らしさが普通に感じられてしまう状態だったわけです。 徳永先生は、話し方や雰囲気から全く違い、オーラも違います。どちらの方がいいというわけではなく、「この先生もすごい!」という新しい発見。同じ注意をされても新鮮に感じ、改めて練習意欲が沸いたのを覚えています。

・・・ちなみに、違う先生に習ったからといって、注意される内容にそれ程違いが出るわけではありません。目指す方向性はだいたい同じで(もちろん、違う先生もいますが、この場合は)、弾いている生徒が同じなら、アドバイスはだいたい似ています。

でも、言い方やコミュニケーションの取り方など「何か」が違うことによって、受ける印象や理解の経路が変わってきます。そこに、先生の個性と生徒の個性の掛け合わせが生まれるのだと思うのです。 それまでは、先生を変わることになるなんて夢にも予想していなかったのですが、「そろそろ、違う先生のところに行きなさい」と背中を押ししてくれたのは、室谷先生でした。 徳永先生のレッスンに行くのは、いつになってもものすごく緊張しましたが、引き締まる気持ちになり、私の高校~大学生活はさらに充実していきました。 私は大学2年生の途中で留学してしまったので、徳永門下だった期間は4年ちょっと位ですが、留学後も時々レッスンをお願いしていたので、それ以上に長く師事していたという気がします。 当時教えて頂いたことは本当に沢山ありますが、それ以上に、今現在となって「この先生に習えて本当に良かった」と心から思えること、それは、先生が、お歳を重ねてもなお、バリバリの現役演奏家として活躍していらっしゃるということです。 自分の先生がステージで演奏する姿を身近に見るということは、一番分かりやすく、具体的な目標となります。そのような環境はとても幸運だと思うのです。 先生にとっても、自分の姿を弟子や後輩に見せられるということは、ある意味最高の事ではないでしょうか。

今私は、本格的に教えはじめて10年ほどになりますが、これからもっと歳を重ねるにつれ、自分の世界を磨き、生徒にずっと見せていきたいと思っています。そんな意味でも、徳永先生は永遠の憧れです

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