2015年11月29日(日)に行われる、小林倫子ヴァイオリン・リサイタルで演奏する曲目の解説、最終回です。
コンサート中、3人目の作曲家はブラームス。
ヴァイオリニストなら誰でも大好きな、ブラームスのヴァイオリン・ソナタ。
ここでは、コンサート当日に会場で配布する「プログラム」に記載する文章と同じものを掲載しています。とてもベーシックな解説です。
「こんなことはとっくに知っているわ」という方は、コンサート当日、私だけの「ブラームス・ストーリー」を楽しみにご来場ください。
お越しいただけない方は、コンサート終了後、エッセイをお楽しみに。
ヨハネス・ブラームス (1833~1897)
ヴァイオリン・ソナタ 第1番「雨の歌」
1 ヴィヴァーチェ・マ・ノン・トロッポ (活き活きと、しかし速すぎず)
2 アダージョ (ゆっくりと)
3 アレグロ・モルト・モデラート (少しだけ速めに)
ブラームスは北ドイツのハンブルクに生まれ、後にウィーンで活躍した、ドイツ・ロマン派の巨匠です。シューマンやヨアヒム、リストといった先輩作曲家との出会いを通じてチャンスに恵まれ、大作曲家としての道を切り開いていきました。とても自分に厳しい人物で、気に入らない作品は迷わず破棄してしまったとのこと。現在私達が聴くことの出来るブラームスは、本人によって選びぬかれた曲なのです。
本日演奏するソナタ第1番は、1879年(46歳)、その頃毎夏滞在していた避暑地、オーストリアのペルチャッハで作曲されました。私はぺルチャッハには行ったことがありませんが、ブラームスが後に好んで滞在したトゥーン湖(スイス)を訪れたことがあります。穏やかで柔らかな湖を愛したブラームス。湖と緑に囲まれた美しい土地は彼のオアシスとなり、たくさんの大作が生まれています。
控えめな中に暖かさと幸福感を感じる第1楽章。第2楽章は中間部で激しい内面を垣間見せます。第3楽章は、自身が作曲した歌曲「雨の歌」の旋律を使ったロンド形式。「雨の歌」の副題は後世に付けられました。
コメント