2015年11月29日(日)に行われる、小林倫子ヴァイオリン・リサイタルで演奏する曲目の解説です。
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以下の文章は、コンサート当日に会場で配布する「プログラム」に記載するものと同じですので、お越しくださる方は、当日お手に取ることになります。お時間のある方は、一足先にお読みになってみてください。また、お越しいただけない方もぜひ。
まずこちらは、一人目の作曲家・パリーについてです。
なお、この解説は、「エッセイ その12、13、14」と重複する内容もございますのでご了承ください。
Sir Charles Hubert Hastings Parry (1848~1918)
チャールズ・ヒューバート・ヘイスティングス・パリー
●「12の小品」より、「牧歌」「プレリュード」
● ヴァイオリン・ソナタ ニ長調
- アレグロ (速めに)
- アンダンテ・ソステヌート (ゆったりめに)
- プレスト・ヴィヴァチッシモ (とても速く活き活きと)
パリーは、「エルサレム」という聖歌によって、イギリスでは誰からも愛される作曲家です。
イートン校からオックスフォード大学というエリート教育を受けたパリーは、音楽家として身を立てることを父親から反対されたこともあり、保険会社のロイズに就職。7年の間、音楽との二足のわらじを履き続けました。その後ロイズを退職し、グローヴ音楽辞典の執筆陣に加わるなど、音楽界で業績を積みます。
1883年、王立音楽大学創立時に教授として招かれ、後には学長に就任。ホルスト、ヴォーン・ウィリアムズを始めとして多くの優秀な弟子を育てました。それまで低迷していたイギリス作曲界は、パリーの存在をきっかけとして、イギリス・ロマン派という豊かな時代を迎えたのです。
パリーは、バッハやベートーヴェン、そして誰よりもブラームスを最も尊敬しており、作品にはドイツ音楽への敬愛が表れています。
また、修行時代には、ブラームスに作曲のレッスンをして欲しいと申し込みましたが、断られてしまいました。最も尊敬する作曲家に拒否され、さぞかし落胆したことと思いますが、ブラームスへの尊敬の念は少しも変わらず、ブラームス逝去の際には「ブラームスへの哀歌」という曲を作曲しています。
「12の小品」は1894年の作曲。家族や友人に献呈された、愛らしい曲集です。
ヴァイオリン・ソナタは1889年の作曲。喜びが湧き上がるような第1楽章、おとぎ話を聞くような第2楽章、無邪気で軽快な第3楽章からなります。
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