その63 肩エクササイズ (ウォームアップ編) ヴァイオリニストの筋トレ
YouTube版「ヴァイオリニストの肩エクササイズ Par1/Part2」の文字バージョン、および補足でもあります。
肩のエクササイズの方法について、お話します。
途中、Youtube版の抜粋を挟んでおります。フル・バージョンの動画は、Youtubeチャンネルをご覧ください。
外旋、内旋、内転
Youtube版「ヴァイオリニストの肩エクササイズ」では、
「Part1」で「外旋」、
「Part2」で「内旋」「内転」
という動きををご紹介していきます。
それぞれのエクササイズで、主に意識したい筋肉は、こちらです。
・外旋 → 棘下筋(肩甲骨の表側、というか、後ろ側にある筋肉)
・内転 → 肩甲下筋(肩甲骨の裏側、というか、前側にある筋肉。下の模型では、見えないところにあります)
・内転 → 大胸筋、他
↓ 肩の模型。右肩を、背中側から見たところです。
この「ウォームアップ編」では、これらの筋肉を「鍛える」というよりは、「活性化する」という方が正しいかと思います。
それぞれの動作をする時に、これらの筋肉がきちんと動いてくれることを確認することで、肩周りを「動きやすく」します。
これらの筋肉が活性化されていない状態で、ヴァイオリンを弾いたり、筋トレをしたり・・・すると、効果的に動けない→ 演奏効果、筋トレ効果が十分に得られないばかりか、怪我や違和感に繋がる可能性もあります。
「外旋」 エクササイズ
「棘下筋」の活性化です。
棘下筋というのは、すぐ隣にある「小円筋」と一緒に働くことが多いですが、棘下筋のほうがサボりやすい筋肉なので、知らないうちに使えていなかったり、弱ってしまうことが多いのです。
この棘下筋を活性化すると、確実に肩の可動域が広がります。
1st ポジション 外旋
まずは、肩の1stポジションで。
1stポジションとは、こちらです。上腕をまっすぐ下におろして、肘を90度に曲げた姿勢。手のひらは上向きです。(以下、右腕の場合で説明)
そこから、肘の位置を変えずに、前腕を外側に開いていく・・・これが外旋です。
ゆっくりと、開いたり閉じたり、していきます。あまり開けない、という方は、無理せずに。
開ききった時に、棘下筋(肩甲骨の、後ろ側というか、表面側にある筋肉。さわれます)が収縮しているのを感じましょう。
さて、1st ポジションで「外旋」を行った後は、3rd ポジションでも行っていくのですが・・・
その前に ↓
肩関節の水平内転(水平屈曲)
次の「3rd ポジション外旋」にいく前に、ぜひやっておきたいのが、この「水平内転」。これをやっておくと、次に行う「肩関節の3rd ポジション」がやり易くなります。(逆に、これをやっておかないと、私は3rd ポジションが難しかったです)
腕をピンと伸ばして前に突き出した状態で、肩関節を内側に屈曲する(上腕を内側に寄せる)練習です。
「上腕を内側に寄せる」この動きは、胸の筋肉・大胸筋を意識して行います。
肘が曲がってしまうと、上腕がそれ以上動きませんので、必ず肘を伸ばしてください。初めはけっこう難しいですよ。
大胸筋を使う意識が出来ると、同時に、二の腕(乗算三頭筋)がストレッチされ、筋肉の張りが緩むので、動きが出しやすくなります。「次の『外旋』エクササイズへの準備」という意味では、そこも重要です。
3rd ポジション 外旋
それでは、「外旋」エクササイズに戻ります。3rd ポジションです。
あれ? 2nd ポジションではないの? と思った方!
そうなんです。2nd の前に、3rd ポジションを行った方が、棘下筋が使いやすいのです。
・
ヴァイオリンでも、1st ポジションの次に3rd ポジションを習いますよね。(そうなんです)
似てる!と思っていただければよいかと思います!
・
3nd ポジションは、肘を身体の前側に真っ直ぐ挙げ、肘を左に90度屈曲した形 →→→ 先ほどの「水平内転(水平屈曲)」の、肘曲げバージョンです。
その姿勢から「外旋」をしていきます →棘下筋が収縮します。
そして、ゆっくり戻し → 棘下筋が抜けないように、ゆっくりと。
戻した時に、水平よりも、更に少しだけ下まで行きます → 先ほど収縮した棘下筋が、そのままストレッチされます。
そして、元に戻します。
2nd ポジション 外旋
「外旋」の最後に、2nd ポジションです。
2nd ポジションは、腕を横に挙げたところから、肘を90度前に曲げた位置です。
横、と言っても、真横にすると少し肩が窮屈なので、窮屈でない程度、前にずらしてOKです。
この状態から、3rd ポジションの時と同じ手順でエクササイズをします。
内旋 エクササイズ
外旋の反対の動き、内旋です。
内旋の運動では、「肩甲下筋」を活性化します。
この肩甲下筋が強くなると、ヴァイオリンの演奏上では、「強い音を出す時に、きちんとインナーマッスルが使える」ということになり、力強い音が、より楽に出せるようになります。
1st ポジション 内旋
1st ポジションでの内旋は、腕を背中に回した状態から始めます。
この姿勢自体が辛い方は、無理をしないで、次のエクササイズに進みましょう。
「外旋」の時と同じように、「肘の位置を変えずに」前腕を内旋させていく・・・のですが、腕を背中に回した状態では、少し難しいので、肘の位置は多少ズレてもよいと思います。が、
肩が極端に前にせり出したりしないように気を付けながら、前腕を内旋させる「つもり」になってください。
実際に動くのは数ミリ単位ですが、「内旋方向に動かすつもり」が、エクササイズになります。
3rd ポジション 内旋
3rd ポジション → 上腕を身体の前に突き出した状態で、肘を90度曲げた状態。(3rd ポジション外旋を参照)
この3rd ポジションの位置で、もう片方の手を下に添え、台にします。
ここから、肘の位置を変えずに、「内旋の動き」をしながら、下の手を押していきます。
押していくと、肘も一緒に下がっていくかもしれませんが、肘の位置が変わらないように気を付けてください。
肩もすくめないように。
「内旋」の動きをイメージしながら行いましょう。
内転 エクササイズ
「内転」とは、体の横に挙げた腕を「下げる」動作。または「脇を閉じていく」動作になります。
ヴァイオリニストは、常に右腕を上げた状態で演奏します。
上げたり下げたりはしますが、「閉じる」ことはありませんね。ですから私は、右側の「閉じる」力が少し弱いのです。
上げ下げする際に使う筋肉全体のバランスを取ることによって、肩関節の動きもスムーズになります。
「閉じる」練習は、脇の下に反対の手を挟んで、その手をギュッと挟んで潰すようにします。
その時に、肩をすくめないように + 肘を曲げないで真っ直ぐに伸ばしたまま。
「上腕」で閉じなければいけないので、肘から先は真っ直ぐのまま動かしません。肘が曲がってしまうと、上腕を締める力が逃げてしまいます。
必ず「よい姿勢で」
いずれのエクササイズも、立って行う際に、ドローイン、チェストアップ、をして、「よい姿勢」を取ったうえで行ってください。
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