その62 「肩のエクササイズの重要性」 ヴァイオリニストの筋トレ
先日、「ヴァイオリニストの肩エクササイズ Part1/Part2」という動画を、YouTubeにアップしました。
(2023年11月の「リサイタル当日の舞台裏」という動画に映っていた、肩エクササイズをご紹介したものです。)
こちらのホームページでも以前、「エッセイ その44 肩のインナーマッスル(リハビリ編)」と題して、肩のお話をしていますが、今日のエッセイは、その続編という位置付けです。
「エッセイ その44」および、YouTube版「ヴァイオリニストの肩エクササイズ Part1/Part2」と併せてご覧いただければ幸いです。
肩関節って、どこのことを言ってる?
ところで、「肩関節」というと、どこを思い浮かべますか?
厳密に言うと、肩には「肩甲上腕関節」「肩鎖関節」…などなど、複数の「関節」と呼ばれる箇所があるらしいですが、
私たち一般人が思い浮かべる「肩関節」は「肩甲上腕関節」と呼ばれる場所です。
※以下、このエッセイ内では、「肩甲上腕関節」のことを、略して「肩関節」と書かせていただきます。
私は元々、「肩関節」というのは「肩と上腕」の関節だと思っていたのですが、「肩甲上腕関節」という名前の通り、正確には「肩甲骨」と「上腕骨」の関節なんですね。
↑ これ、同じ事を言っている、と思われるかもしれませんが…
私のイメージでは、「肩甲骨」というのは背中についているものだと思っていたので →「肩」と「肩甲骨」は、なんとなく別のものだと思っていました。
↑ ここからも分かるように…
「肩」というのは、わりと広範囲を指している言葉であり、「肩」から思い浮かべるイメージや形は、人によってかなりバラつきがあると思うのです。
ヴァイオリンのレッスンで「肩」に言及する時、共通のイメージを持てているかどうか、というのは、けっこう難しいポイントだなぁと、常々思います。
肩関節は、360度、筋肉で支えられている
こちらは、肩関節を、背中側(肩甲骨側)から見た模型です。(撮影協力・肩こりラボ)
右肩、ということですね。
少し説明をいれると、こんな感じ。
さて、この「肩関節」を、身体の横から見たバージョンが、こちらです。
左から時計回りに
「小円筋」「棘下筋」「棘上筋」「肩甲下筋」が、上腕骨に付着しています。
ここではよく見えませんが、棘上筋と肩甲下筋の間辺りに、もう一つ、上腕二頭筋から伸びる腱が付着していおり、
それらを合計した5つの筋肉付着部が、上腕骨をぐるっと取り囲んでいます。
さながら、ボールを手で掴んでいるような・・・こんな感じです ↓
このように「ボールを手で掴んでいる」と想像すると、
例えば、
小指が、他の指よりもだいぶ筋力が弱くなったり、怪我をして使えなくなってしまったら、
ボールを安定して持つことが出来なくなります。もちろん、ボールを動かす動作にも支障がでます。
ボールを投げられないこともないと思いますが、5本の指がバランスよく働いている場合と比べると、色々と不都合が出てくることは、容易に想像ができます。
肩に置き換えると、5つのインナーマッスルの筋力バランスが崩れてしまうと、肩に違和感が出たり、動かしにくくなったり・・・そして痛みに発展したりと、不都合が出てくる可能性が高まります。肩って繊細なのです。
ですから・・・
肩の健康のためには
まず、
・肩回り全体の各筋肉(インナーマッスルもアウターマッスルも含め)を活性化して
・それぞれの筋肉のバランスを良好に保っておく
そうすると、
・肩の動きがスムーズになり、肩関節の状態を良好に保てます。
肩の健康を維持し、肩のトラブルの予防をするということです。
ヴァイオリニストのとっては、毎日肩の動きがスムーズで、「思い通りに動いてくれる」ということがとても大切です。
エクササイズがお薦めな人① ヴァイオリニスト
「毎日の肩エクササイズが大切だ」と実感できるのは、私の場合、不都合を感じた経験があるからこそ、です。
「肩は動くのが当たり前」と思って、特に気にしていない方のほうが多いでしょう。でも、気にも留めないでいて、突然何か不具合が起こって困る、ということは良くあることです。
肩に違和感や痛みがあると、いつも通り/思い通りに腕が動きません。痛みを気にしながら生活すると、自然と可動域が狭くなっていきます。私も経験済みです。これは誰にでも起こる事で、そして、甘く見ると大変な事にもなります。
ヴァイオリニストでしたら演奏に影響も出ますし、演奏に影響が出ないように身体の他の部分に負担をかけて、ますます無理をすることになり、悪循環に陥っていきます。
今のところ何も問題が無くても、肩関節の状態を常に最適に保っておくことは必要だと思いますし、
「何も問題ない」という方でも、ちょっとエクササイズをしてみると、「肩が軽くなった」と効果が感じられると思いますので、ヴァイオリニストの方々は是非、やっていただきたいと思います。
私は毎日、朝と練習前には必ず肩エクササイズをおこなっています。
エクササイズがお薦めな人② ヴァイオリニスト以外のすべての方
ヴァイオリニストに限らず、肩は重要です。
「なんか、肩が思うように動かない」
「腕がイマイチ上がらない、一時的なものだろうけど」
「そこまで動かすと、ちょっと違和感があるからダメなのよね」
と言う方、よく、いらっしゃいます。
ヴァイオリンを弾くかどうかに関わらず、それ、放っておくと、もっと動かなくなりますよね?
もう既に肩に違和感を覚えていたり、少し不自由な思いをされている方にも、肩のエクササイズは絶対に有効です。是非、肩の健康維持に役立ててください。
また、
「一時期、肩が変だったけど、最近は治ったみたい」
という方にも、よく遭遇します。
「治った」かもしれませんが、痛かった間に狭まってしまった可動域、元通りになりましたか?筋力は、戻っているでしょうか?
確認のためにも、そして、より良い状態にしておくためにも、ぜひお試しください。
・・・続く
次のエッセイ
その63 「肩エクササイズ」(ウォームアップ編)(ヴァイオリニストの筋トレ 13)では、
実際のエクササイズについて書いております。
Youtube版、エッセイ、どちらも基本的に同じ内容ですが、動画の方が見やすい方、エッセイ版の方が便利な方、どちらもいらっしゃるかと思います。
お好きな方をご覧くださいませ。
Youtube版はこちらです ↓↓
Youtube 【ヴァイオリニストの肩エクササイズ Part1】
Youtube 【ヴァイオリニストの肩エクササイズ Part2】
こちらもご覧ください
エッセイ その44 ヴァイオリニストの筋トレ⑤(リハビリ編) 肩のインナーマッスル
コメント