その66 「腰痛」か「筋肉痛」か。その時どうする? ~ヴァイオリニストの筋トレ~
初めての腰痛??
ある日、筋トレでスクワットをした時に、
いつもと同じ負荷(重量)を挙げたのに、何故か急に、腰が痛くなってしまいました。
「いつもは大丈夫なのに、今日はなぜ!?」と思って、トレーナー氏(肩こりラボ所長)に言ったら、
「そういうことは良くあります」と。
その日の体調や、微妙なコンディションによって、「いつもは大丈夫」が通用にしないことがある。トレーニングをしていれば「あるある」なのだとか?
そもそも、「腰痛」って、私、初めてのような気がする!
と言ったら、所長、、
「何言ってんですか(呆)、腰、よく痛がってたじゃないですか!」って、言われたのですね。
え?そうだっけ…?
うん、そうかもしれない…
でもね、ほら、あの頃は全身痛かったからなぁ…(と言い訳)。
それに、腰痛にも色々あるじゃないですか。「スクワットの負荷のせいで腰が痛くなった」は、明らかに初めてなんです。(だって、バーベルスクワットなんて、以前は出来なかったのだから)
…こんなやり取りをしながら、「腰の痛み」について色々と考えてみたので、今回のテーマは「腰痛」といたしましょう。
ただ、私は医師でも治療家でもないので、自分が経験したことや、その周辺のことしか書けません。それは「筋肉の痛み」です。
筋肉の痛み以外の腰痛や、病気に起因するものなど、同じ「腰痛」と言っても様々だと思います。深刻な病気が隠れていることもありますから、もしも、腰が痛くて原因が分からない場合は、ご自身で判断せずに、専門家の診断を仰いでくださいね。
以下はあくまでも、自らの体験談に基づいた、私個人の(そんなに深刻ではない)腰痛体験となります。
ギックリ◯◯
さて、皆さま、ギックリ腰になったことがありますか?
私は、幸いなことに一度もありません。
ただ、私が自分で「ギックリ背中」と呼んでいる現象になったことは、何度かあります。
「ギックリ背中」は、ギックリ腰と同じことが背中に起こったものと、理解しています。
いつも数日で治っていたので、ごく軽かったと思いますが、「いつものように動けなくなった」「起き上がるのが難儀」という意味で、個人的には「ギックリ認定」しています。
(まぁ、「ぎっくり」の定義って曖昧ですよね)
ギックリ腰ではない腰痛
さて。「ギックリ腰ではないけれど腰が痛い」→ 要するに「普通の」腰痛。
例えば、一日中ずっと座って仕事をする人などは、腰痛になる人も多いでしょう。ヴァイオリニストも、座って演奏をする時間が長くなると、腰が痛くなることが多いです。
「ギックリ腰」のように動けない程にはならなくても、充分に日常生活に支障をきたす可能性もある、「非ギックリ」の腰痛のお話に、進んでいきたいと思います。
炎症か、そうでないか。
腰・・・に限らず、どこかに痛みが出た時に、まず確認すべきなのは、炎症があるか無いかだと思います。
そんなの、素人にははっきりとは分からないので、分からない時は、信頼できる専門家に聞いてみるしかありません。でも実は「痛くなる」ことを繰り返すうちに「なんとなーく」分かるようになるのかな…?と、最近は気づきました。(繰り返したくないですが)
炎症があるというのは、
・赤くなる (でも、腰だと見えないですよね。手指や足の方が分かりやすいです)
・腫れる → 「赤くなる」と同じでは?と思うかもしれませんが、色が「赤っぽい」だけなのか、それとも、患部が膨らんでいるのか、ということ。
・熱感がある → 膨らんでいても、浮腫んでいるだけの場合もありますので(私の場合特に)。 本当に炎症が起こると、少なからず熱を持つんですね。
・とにかく動かすと痛い・痛くて動かせないし、人に動かしてもらうのも無理。
・・・という感じでしょうか。
それに対して、たとえ「赤っぽく」なっていたとしても、「痛いけど動かせる」や、「人に動かしてもらえば痛く無い」等は、「炎症が起こっているわけではない」可能性が大きいです。
炎症がなくても痛みが強いこともあるので、痛みの強さだけでは判断できません。それに、どの程度で「痛みが強い」と感じるか、というのも、人によりますから、この判断はとても難しいと思います。
慢性なのか、一時的なのか
「非ギックリ」にも色々とあると思いますが、大きく分けると、一時的に痛いだけなのか、慢性化しているのか、という違いがあります。その他に、慢性ではないけれど腰痛になりやすい、「中間」のような方もいらっしゃるでしょう。
例えば、「ただの筋肉痛」は一時的なものですね。
一時的でない例は、
デスクワークなどで、日常生活の中で腰に負担がかかる機会が多い、または、腰に負担のかかる身体の動きが癖になっている等、様々な理由で、毎日腰痛に悩まされる場合。
私が以前「よく腰が痛くなっていた」のは、どちらかと言うと「慢性」寄りの「中間」くらいでした。
筋肉痛と腰痛
前述のように、生活習慣からくる慢性的な辛さで、病院で調べてもらっても特筆すべき原因はない場合は、筋肉の痛みであることが多いです。
ということは、いわゆる「筋肉痛」なのか?というと?
「筋肉が痛い」という意味では同じですが、少し違います。
「いわゆる筋肉痛」は、原因となる動作の後、1~2日後に発症して、数日~1週間ほどで消失するものです。運動後の「遅発性筋痛」といいます。腰が筋肉痛になった時は、おそらく皆さん「腰痛」とは言わずに「腰の筋肉痛」という表現をするでしょう。
それに対して、「慢性的な腰の痛み」は、筋肉が痛いのだと分かっていても「筋肉痛」とは言いませんね。
・原因が一つに特定出来ない
・毎日同じように痛む。辛い。→ 治らない
・でも、(もしかしたら)季節や時間によってマシになることもある…など。
私は、それは「必ず直る痛み」だと思っています。(筋肉の痛みであれば)
「治る」が言い過ぎだとしても、「慢性」から「中間」に、そして「一時的に」に…と、症状が起きる頻度や度合いを減らしていくことは、理論上、確実に可能です。
私は現在、普段は滅多に腰痛にはなりません。体幹トレーニングと身体の動かし方を学んだ結果、
「腰が痛くなりやすい姿勢や動作」をする頻度が減ったことと、
多少負担のかかる姿勢をしても、すぐには痛くならない身体に成長したからです。
「慢性的な腰痛」に陥る危険性が、極めて減りました。
スクワットで腰痛?筋肉痛?
さて。
話は最初に戻ります。
スクワットで腰が痛くなってしまった私。
「腰痛になってしまった!?」と焦りました。
腰痛ならば、治るまでスクワットが出来ないではないですか。せっかく出来るようになったのに。ちょっと無理しちゃったのかなぁ…と、しょんぼりしてしまいました。
ただ、「痛いから動かさないようにする」は、違うような気がしたのです。
そこで、ラボ所長に「どうしたらいいですか? 」と聞きました。
すると…
『痛みを認知していることが、痛みにつながる可能性もあるため、場合によっては痛み止め服用もありです。
腰の筋肉痛は、腰痛に感じることもあります。
痛みを無視まではしませんが、ドローインとヒンジを意識した動作を心がけます。
安静しすぎず、極力通常通りの動作を。
できるものはトレーニングして大丈夫です』
・
むむむ・・・
なんという模範解答・・・ (当たり前だ)
ただ、ね、
「模範解答」というのは、時に、助けにはならないのですよ。もうちょっと踏み込んでもらわないとなぁ。。。
模範解答を読み解く
さて、では、この模範解答を解説しましょう。
●最初に「痛みを認知していることが、痛みにつながる可能性もあるため、場合によっては痛み止め服用もありです」とあります。これは、
「動かさない」「安静にする」というのが、始めから問題外だということですね。私の痛みは「炎症ではない」という前提でしたので、やはり「安静」はあり得ないのです。
●次に「腰の筋肉痛は、腰痛に感じることもあります」!?!?
これは、「腰痛」と「筋肉痛」は違う、という意味でもあるのでしょうが、しかし「紙一重」という意味でもあるのかな?と読み解きます。
一般人の感覚で言う「筋肉痛」の範疇を超えた「ものすごい筋肉痛」というのも、あるらしいのです。その場合、炎症が起きることもあるのですって。そうなるともう、「ただの筋肉痛」とは言えない。ほぼ「ぎっくり腰」ではないですか!
ですから、区別はあるけど、ある意味区別はない…という意味を含んでいそう。
●「痛みを無視まではしませんが・・・」
無視はしないけれど、気にするな、ということですね。
●「ドローインとヒンジを意識した動作を心がけます」
「エッセイ その42」でお話した「ドローイン」と、「エッセイ その45」でお話した「ヒップヒンジ」を、きちんと意識して動くことによって、腰に更なる負担をかけないようにする、という意味です。日常生活の中で、このような「基本の動作」を意識することって、腰痛予防にもなります。逆に、腰が痛くなってしまった時というのは、気付かぬうちに「基本の動作」が疎かになっていたのかもしれません。
●「安静しすぎず、極力通常通りの動作を」
安静にし過ぎると、周りの筋肉が凝り固まって、今度はそのせいで痛むようになります。私の場合、過去に特にそのような傾向があったので、このようなアドヴァイスになっています。
●最後に「できるものはトレーニングして大丈夫です」
「できるものは」
・・・・・・ここが問題ですよ。
そんなことは分かっているのです。出来るのならやりたい。
でも、どこまでが「できるもの」なのかが、分からないんです!
せっかく出来るようになってきたスクワットを、「練習し続けるべきか否か」そこが問題。それを知りたかったのです。
一体、どうなの!?
「できるもの」って?
「できるもの」とは、なにか・・・
では、「出来ない」というのはどういうことか、から考えましょう。
「痛くて動かせない」であれば、それはきっとギックリ腰並みですね。
でも、この時の私は、炎症は起こっていないと思われたので・・・
スクワットも、「痛いけど、出来ないことはない」という感じでした。
でも、「痛いけど・・・」を続けていくと、途中からもっと痛みが増してきます。
この「痛みの増す度合い」から、「もう止めておいたほうがいい」か、「まだ大丈夫」なのか・・・
・
きっとこれは、その場で自分で判断するしかないのだと思いました。
・
例えば、
「病院に行くか行かないか」って、個人の判断ですよね?
風邪を引いた時、病院に行って薬を処方してもらうのか、それとも「とりあえず自宅療養」なのか、はたまた市販薬を飲んで仕事をするのか。個人によってかなり幅があるのだと思います。
それと同じように。
腰が痛くなった時に、どの程度の痛みや症状で、「スクワットはやめておこう」となるのかは、個人の判断なのでは???と・・・
なーるほど。そういうことか。
トレーニングを続けていれば、どこかが痛くなるという機会は増えます。そんな時にどう対応するかも、ある意味「慣れ」です。
「動かしたら悪化する」と、「動かしたほうが治りがはやい」の分かれ目を、あなたはどう判断するのか。
そこが「熟練度」なのでしょうか!?
結局私はどうしたか
私の場合、スクワットをお休みするのがあまりにも惜しかったので、とりあえず負荷を減らして、痛みが増さないように気を付けながら運動を続けました。
「痛みが増さないように」というのは、負荷量の調整だけでなく、
「いつもよりもドローインをしっかり」とか、
「腹筋を強く固める意識」とか、
「悪い腰の使い方をしない」等、
いつも気を付けることを、更に気を付け、意識しながら行いました。
すると、1週間程で腰の痛みはほぼ改善し、しかも、スクワットのフォームが改善し、前よりも負荷を上げることが出来た、という!!!
まさに怪我の功名となったのです。
私って天才 ←
結局は、自分で決める!?
したがって、私が聞きたかったこと
「スクワットは、お休みするべきか、続けるべきか」「できるものはやってよい」の基準は?
の答えは・・・おそらく、
「そんなの分かりません。知りません。自分で考えて判断してください」なのでしょう。
(決してそんな風には言われていませんが。トレーナー氏の心の中は、そうなのね。)
「エッセイ その56 筋肉痛のお話」で、自分で筋肉痛を出せるかどうかは、自分の身体との対話が大切だと申しました。
それと同じ。
痛みが出た場合も、自分の身体をよく観察し、対話をすることが全てなのかな・・・と思いました。
もちろん、そのためには、正しい知識と経験が必要なので、始めから出来ることではありません。
まずは、腰に負担のかかりにくい動作を知り、身に着けることが先決ですし、始めのうちは、わからなければ専門家に診てもらいましょう。
腰痛にお困りの方へ
腰痛にお悩みの方って、たくさんいらっしゃいます。私の周りにも。
「治らない」と思っていらっしゃる方が、とても多いと思います。
もしくは、ぼんやりと原因が分かっていても、出来ることはないと思っていたり。
まだ若くて、仕事に支障をきたすようになったら、さすがに真剣に改善に取り組むと思うのですが(私も一時そのような状況に陥りました)、年配の方は特に、「歳だから仕方ない」と最初から半ば諦めてしまう方も多いと思うのです。
でも、70代80代の方こそ、これ以上急激に悪くしないために、ぜひエクササイズをして欲しいと思います。
騙されたと思って、改善に取り組んでみませんか?
すぐに治るということはありませんが、少し良くなるだけでも、かなり状況は変わると思うのです。
そして、日々のストレスを減らしていきましょう♪
「ヴァイオリニストの筋トレ」シリーズ
その39 ヴァイオリニストの筋トレ②(リハビリ編)チェストアップ
その42 ヴァイオリニストの筋トレ③(リハビリ編)ドローイン
その44 ヴァイオリニストの筋トレ⑤(リハビリ編)肩のインナーマッスル
その45 ヴァイオリニストの筋トレ⑥(リハビリ編)「股関節の謎」ヒップヒンジってなに?
その52 ヴァイオリニストの筋トレ⑦「スクワット」ができるまで
その55 ヴァイオリニストの筋トレ⑧ ヴァイオリンに良い筋トレ、教えて!
その62 肩エクササイズの重要性 ~ヴァイオリニストの筋トレ~
その63 肩エクササイズ(ウォームアップ編) ~ヴァイオリニストの筋トレ~
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