その39 ヴァイオリニストの筋トレ② (リハビリ編)チェストアップ

その39 ヴァイオリニストの筋トレ② (リハビリ編)チェストアップ

普段の姿勢

体に痛みがあったりすると、 

痛い 

→ 用心するして、痛くならないようにと思って体の動きが省エネっぽくなる 

→ 様々な関節可動域が狭くなっていく 

→ 筋肉も動かせる範囲が狭くなる 

→ 体が硬くなっていき、突然動かそうと思った時に、痛めてしまったり。

こんな悪循環が起こっていきます。実際に、私に起こったことです。

この状態が長く続いたため、私は、とても姿勢が悪くなっていました。

肩が頻繁に痛くなるようになってしまったのも、この悪循環の末なのですが、ヴァイオリンを弾くのに「肩が痛い」というのは、本当に困りました。

その体を立て直す際、まず最初に始めたことのひとつが、「胸郭を上げる」ということでした。

「胸を張る」ということですね。「チェストアップ」ともいいます。

胸郭が下がるということは、姿勢が悪くなるだけでなく、呼吸も浅くなっていきます。

その状態が続くと、多かれ少なかれ、精神面にも影響することがあります。

ずっとその状態でいると、「胸を張ろう」と思っても張れなくなっていきます。(張っているつもりでも、実際には張れていない状態。固まってしまうのです。筋肉って、動かさないでいると、動かせなくなりますからね)

姿勢的には始終「しょんぼり」しているような状態です。「体調が悪くなると気分が下がってしまう」というのは誰もが経験することと思いますが、身体が「しょんぼり」すると、思考もネガティブになっていくものです。

まさに「身体と心は繋がっている」なぁ、と実感します。

ヴァイオリンでは、胸郭が下がってしまうことにより、肩関節の動きが制限されてしまうので、ボーイングが思うようにいかなくなる、あるいは、以前と同じように弾こうとして、他の箇所に負荷がかかって、痛みが出てしまったり、ということになります。。。

胸を張る

さて、チェストアップ。

胸を張ればいいので、簡単ではないですか?

わざわざ練習するようなことですか?と思われるかもしれませんね。

でも、簡単ではないのです・・・。

逆に、これが簡単に出来る方は、そのレベルはクリアしているので、どうぞ次へと進んで、どんどん筋トレをしてください笑

でも、私にとっては大変でしたし、同じような方は多いはずなのです。なぜなら、

今まで、沢山のヴァイオリン学習者を見てきていますが、姿勢が悪くて直せない人がたくさんいます。

学習者の場合、姿勢が悪いと、上達が遅いことが多いです。

チェストアップを初めてやると・・・

チェストアップの習慣のない人が突然「胸を張る」と、絶対に腰が反ります。腰が反るのはNG。

「腰が反らないようにしながら胸を張る」には、まず

①腹筋にしっかり力を入れて、腰が反らないようにしてから

②背中の筋肉を使って

ということになります。

私の場合、腹筋を入れる習慣が皆無でしたので、入れても簡単に力が抜けてしまったり。

そして、そこから胸郭を上げる時に「背中の筋肉を使う」のですが…

始めた頃、背中の筋肉が急に叩き起こされたため、「ピキッ」ときてしまいました。私が「ぎっくり背中」と呼んでいる現象。「ぎっくり腰」の背中バージョンです。幸い、数日で治るレベルしかなったことはないですが、それでも、一時は上半身を動かせない程の痛となりました…。

「胸を張る」って、こんなに大変なことだったっけ???

チェストアップの効果

でも、胸を張ることができるようになった今、「すべてはここから始まる」と思う程、大事なことと思っています。

・ヴァイオリンを構える時の姿勢に好影響。自然な高さに落ち着きます。

・背中の筋肉で姿勢を支えられていれば、肩関節以下が、より自由に動かせるようになるので、力強い動きや、速い動きが可能になり、コントロールも効くようになります。

・「胸を張る」前に、腹筋を入れておかないといけないので、まず「腹筋力」がつく。(本当は、体幹の安定のためには、こちらが優先事項なのですが)

・胸をはることによって、自信があるように見える

こんなふうに

↓極端ですが、悪い姿勢の例です。

↓こちらは、悪い姿勢から、単に「胸を張ってみた」場合。少しだらしのない恰好に見えます。

↓こちらは、腹筋を入れたうえで、胸郭を斜め上へ向かせる意識で、チェストアップしてみました。

胸が張れていますか?

初心者で、楽器の持ち方や弓の動きが安定しない、という方や、

中・上級者で、「思うような音が出ない」という方など、

今一度、姿勢を確認してみることをお勧めしめす。

楽器を持つ姿勢だけでなく、持っていない時の姿勢から、確認してみましょう。

客観的な意見が知りたい!という方は、是非一度、ご相談ください。

「楽器を持つ前の姿勢」から、技術の基礎作り・音作り・・・すべて始まっています。

かつての私のように、背中の筋肉が固まってしまっていて、「胸を張っているつもりだけど、張れない」レベルの方は、

まずは、固まった背中部分をストレッチするのに、こちらのタオルエクササイズがオススメです。

(補足) 間違った胸の張り方

「胸を張ってください」と言った時に、

どういう動作をするか。

2通りのパターンがあるそうです。

①ひとつは上に書いた方法 → 「胸郭を上げる」です。

②もう一つは、「腕(二の腕)を後ろに引く」。

②では、胸郭は上がりません。「胸を張る」という表現には当てはまりますが、このエッセイでお伝えしたかった「チェストアップ」とは異なり、肩関節を固めることになってしまいます。

あくまでも、このページでの「胸を張る」は、「チェストアップ」=胸郭を上げる(上向きにする)… とうことを、最後に付け加えたいと思います。

読むだけではよく分からない!という方、

「ヴァイオリンを弾く姿勢を改善したい」「自分の姿勢はどうなのかな?」という方等、お気軽にお問い合わせください。

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