その50 ボーイングを科学する② -変化する、手の形-

その50 ボーイングを科学する② -変化する、手の形-

このページでは、基本の弓の持ち方と、右手の形の変化についてお話していきます。

基本の、弓の持ち方

弓の持ち方については、YouTube動画「小林倫子 ヴァイオリンの基礎 その1 〜弓の持ち方〜」で、解説しております。

文字に起こしたものも、「エッセイ 34」のページに掲載しております。

さて。

まずは、弓を綺麗に(良い手の形で)持つことが大切です。

綺麗な手の形からは、綺麗な音色が生まれます。

では、綺麗に持てたとして、単にその手の形をキープしながら弾けばよいうのか、というと、少し違います。基本的には大体キープして欲しいのですが、腕を動かせば、手の形も変わっていきます。

「基本の弓の持ち方」の時の手の形は、下で説明する「弓の真ん中を弦に置いた時」の形です。

手の形、3つの状態

弾く時、腕を伸ばしたり縮めたり、しますね。→「真っ直ぐ弾くための腕の動かし方」参照。

それでは、

・腕を1番伸ばした時 = 弓の先を弦に置いた状態

・腕を1番縮めた時 = 弓の元を弦に置いた状態

・その中間 = 弓の真ん中を弦に置いた状態

と、大きく分けて、3つの状態においての「手の形」を説明していきます。

「弓の真ん中」を弦に置いた時

弓の真ん中を弦に置いた時には、手の形は「基本の持ち方」です。

弓を持つ時は常に、「親指 vs 他の4本」という構図になります。

「他の4本」は、中指を中心に、人差し指側と小指側がある、と思ってください。

「弓の先」を弦に置いた時

弓の先を弦の上に置いて、弓と弦が直角に交わるようにします。

その時、弓と手の角度は、このようになります。

弓の真ん中を弦に置いた時と比べて、弓と手の角度が小さくなっていますね。

この角度をつける際には、親指と中指を中心として、手を、人差し指側に少し傾けます。このような形になります。

「弓の元」を弦に置いた時

弓の元を弦の上に置き、弓と弦が交わる角度を直角にします。

その場所で静止するのは、今までの他の2つのポジションと違って、少し不自然に感じるかもしれません。何故なら、手首を、思った以上に曲げる必要があるからです。

この時、手首を「上げる」ように曲げるのではなく、なるべく横に(水平に)曲げます。

手首を「上げて」しまうと、弓にかかる重力に変化が起こってしまうので、「静かに横にスライドさせる」イメージで行います。

形の変化をスムーズに

弓を、元から先まで満遍なく往復させ、その際に、最適なタイミングで、上の3つの手の形がスムーズに移行するようにしていきます。

この、「手の形」を変化させていく際には、「指弓関節」も動きます。

親指と中指を軸にして、弓先に行くにつれて人差し指側へ、弓元に近づくにつれ小指側に、手が傾きますので、それに応じて指弓関節も柔軟に適応してください。

この動作は、言葉で説明するのが極めて難しいです(私の言語化能力の限界…)。

様々なヴァイオリニストの方が、動画等でも説明なさっているので、色々な説明をご覧になったり、

または、質問疑問はお気軽にお問い合わせください。

①で行った「腕の動かし方」と、②の「手の形の変化」を、両方意識しながら行うのは、初めはほぼ無理でしょう。一つ一つ確認しながら、止まりながら、行ってみましょう。

これを、「基本のボーイング練習」とします。

「基本のボーイング練習」で、まずは、腕の使い方と手の形を習得していきます。

初めは、ぎこちなくても構いません。元から先までを満遍なく動かすことに慣れていきましょう。

その後に、均一な音を出せるように、訓練を続けていきます。

手首を固めない

ボーイング一連の動きの中で、1番問題となってくるのが、手首の関節です。

手首の関節は、普通は、弓(重いもの)を持つと固まってしまいます。

弓は、長い=重い物ですので、持ったら手首が固まってしまうのは、仕方のないことなのです。

でも、固まってしまっては、しなやかな動きの妨げになります。自在なボーイングのためには、手首を力まないようにしたいのです。

そのコツは、弓を「持たなくてもよい時」に、「持つための手の力」を、出来るだけ抜く、ということです。

では、そのお話も含めて、

右手の「力の使い方」を、次にお話していきたいと思います。

エッセイ その51 ボーイングを科学する③ -弓をいかに「持たない」か-

コメント

タイトルとURLをコピーしました